2026/10/26 ブログ
乳歯のうちから歯列矯正した方が良い?歯列矯正をするメリットや方法を解説

この記事を執筆した人
若林歯科院長 米崎美桜
愛知学院大学歯学部を卒業後、同大学で歯科医師臨床研修(小児歯科)を修了。
日本小児歯科学会会員、一般社団法人日本小児矯正研究会副理事長として小児歯科・矯正治療の専門性を持ち、特にインビザラインを用いた矯正に強みを発揮しています。
豊田市内の学校・こども園の歯科医としても活動し、虫歯予防から歯列改善まで幅広く対応。医療コラム執筆者としても信頼され、保護者に向けて「一生涯虫歯ゼロ+美しい歯並び」をサポートする情報を提供しています。
「乳歯はいずれ生え変わるのだから、歯並びが悪くても様子を見ればいい」と考えている保護者の方もいるのではないでしょうか。乳歯の時期の歯並びや噛み合わせ、お口の使い方は、その後に生えてくる永久歯の歯並びや顎の成長にも影響します。この時期に行う矯正は、歯を動かす治療というよりも、歯並びが悪くなる原因に働きかける「予防矯正」が中心です。
この記事では、乳歯矯正を始める時期やメリット、改善が期待できる歯並び、予防矯正の具体的な方法について詳しく解説します。お子さんの歯並びが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
乳歯矯正はいつから始めるべき?

乳歯矯正を始める時期は、歯並びの種類や顎の成長の状態によって異なります。乳歯は3歳頃に20本が生え揃いますが、この時期からすべての子どもに矯正が必要になるわけではありません。早めの対応を検討することが多いのは受け口(反対咬合)で、上顎の成長を妨げないよう3歳〜5歳頃から取り組みを始めるケースがあります。
それ以外の歯並びでは、前歯が永久歯に生え変わり始める6歳頃からの開始が一般的です。
ただし、指しゃぶりや口呼吸などの癖がある場合は、乳歯の時期から習慣の改善に取り組むことが大切です。
口周りの機能を早い段階から整える考え方は、予防矯正は必要?子どもの歯並びが気になる方へメリットや治療内容を解説でも紹介しています。
気になる点があれば、年齢にかかわらず早めに歯科医院へ相談しましょう。
乳歯のうちに歯列矯正をするメリット

乳歯のうちに歯列矯正を始めることには、顎の成長が活発な時期だからこそ得られるメリットがあります。乳歯の時期の矯正は、歯をきれいに並べること自体が目的ではなく、永久歯が正しい位置に生えるための環境を整えることが目的です。ここでは代表的な3つのメリットをご紹介します。
将来的な抜歯のリスクを回避できる可能性がある
永久歯は乳歯よりもひと回り大きいため、顎が小さいと歯が並ぶスペースが足りず、デコボコの歯並びになりやすくなります。乳歯の時期に歯と歯の間に隙間がなく、ぴったり並んでいる場合は、将来スペース不足になる可能性があるため注意が必要です。
スペースが足りないまま永久歯が生え揃ってしまうと、大人の矯正では健康な歯を抜いてスペースをつくるケースがあります。顎の成長が活発な時期に顎の発育を促し、永久歯が生えるスペースを確保しておくことで、将来的に抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性が高まります。歯を残せることは、お口の健康を長く保つうえでも大きなメリットです。永久歯への生え変わりが進むほど顎の成長を利用しにくくなるため、スペース不足が疑われる場合は早めに相談しておくと安心です。
2期治療の負担を減らせる
子どもの矯正は、顎の成長を利用して土台を整える1期治療と、永久歯が生え揃ってから歯並びを仕上げる2期治療に分かれます。乳歯の時期から顎のバランスや永久歯の生えるスペースを整えておくと、永久歯が良い位置に生えやすくなり、2期治療で歯を動かす量を少なくできます。
その結果、2期治療の期間が短くなったり、使用する装置が簡単なもので済んだり、場合によっては2期治療そのものが不要になったりすることがあります。思春期は部活動や受験などで忙しくなる時期です。装置をつける期間や通院の回数を減らせれば、お子さん本人の身体的・精神的な負担だけでなく、費用面の負担の軽減にもつながります。
口腔悪習癖の改善につながる
口腔悪習癖とは、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口呼吸、唇を噛む癖、頬杖など、歯並びや顎の成長に悪影響を与える習慣のことです。弱い力であっても毎日繰り返されることで、出っ歯や開咬、受け口などの原因になります。
乳歯の時期の矯正では、装置の使用とあわせて、舌の正しい位置や鼻呼吸、正しい飲み込み方を身につけるトレーニングを行うことがあります。癖は年齢が上がるほど定着して直しにくくなるため、低年齢のうちに取り組むほど改善しやすいのが特徴です。原因から改善しておくことで、治療後の後戻りの予防にもつながります。正しい呼吸や飲み込み方が身につくことは、お口の健康だけでなく、全身の健やかな発育の面でもプラスになります。
乳歯矯正で改善が期待できる歯並び

乳歯の時期の矯正では、顎の成長のコントロールや癖の改善を通じて、さまざまな歯並びの改善が期待できます。ここでは代表的な5つの歯並びについて、特徴と原因、乳歯の時期に取り組むねらいをご説明します。お子さんの歯並びに当てはまるものがないか、確認してみてください。
上顎前突
上顎前突は、上の前歯や上顎全体が前に出ている状態で、いわゆる「出っ歯」のことです。上顎の過成長や下顎の成長不足といった骨格的な原因のほか、指しゃぶりや下唇を噛む癖、口呼吸などが原因になります。前歯が出ていると口が閉じにくく、口呼吸になりやすい点にも注意が必要です。乳歯の時期から癖の改善に取り組み、成長に合わせて下顎の成長を促すことで、上下の顎のバランスを整えやすくなります。前歯をぶつけて傷めるリスクを減らせる点もメリットです。
反対咬合
反対咬合は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態で、「受け口」とも呼ばれます。放置すると下の歯が上顎の成長を妨げ、成長とともに下顎がさらに前に出て、骨格的なずれが大きくなることがあります。そのため、乳歯の時期から対応を検討することが多い歯並びです。
早期に噛み合わせを改善して上顎の成長を促すことで、将来的な外科手術のリスクを減らせる可能性があります。乳歯の受け口は自然に治るケースもありますが、3歳を過ぎても続く場合は一度相談してみましょう。
過蓋咬合
過蓋咬合は、噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を大きく覆っている状態です。下の前歯がほとんど見えない場合は過蓋咬合の可能性があります。下顎の動きが制限されて下顎の成長が妨げられたり、下の前歯が上の歯ぐきに当たって傷つけたりすることがあります。成長期に噛み合わせの高さを整え、下顎が前方へ成長しやすい環境をつくることで改善を目指します。見た目では気づきにくい歯並びのため、歯科医院でのチェックが役立ちます。
開咬
開咬は、奥歯を噛み合わせても上下の前歯の間に隙間ができ、前歯が噛み合わない状態です。主な原因は、長く続く指しゃぶりや舌を前に出す癖、口呼吸などの口腔悪習癖です。前歯で食べ物を噛み切りにくく、サ行やタ行の発音が不明瞭になることもあります。乳歯の時期に癖を取り除くことで、自然に改善するケースもあるため、早めの対応が効果的です。4歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合は、やめるための工夫を歯科医院で相談できます。
叢生
叢生は、歯がデコボコに重なって生えている状態で、乱ぐい歯とも呼ばれます。顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが足りないことが主な原因です。乳歯の段階では歯並びに問題がなくても、歯と歯の間に隙間がまったくない場合は、永久歯に生え変わったときに叢生になる可能性があります。顎の成長を促してスペースを確保することで、永久歯が並びやすくなります。歯が重なった部分は歯磨きがしにくく、虫歯や歯肉炎の原因にもなるため、早めの対応が大切です。
乳歯矯正は「予防矯正」が中心

乳歯の時期に行う矯正は、歯を1本ずつ直接動かす治療ではなく、「予防矯正」が中心になります。予防矯正とは、顎が小さくなる原因やお口周りの筋肉のバランスを整えることで、歯並びが悪くなる原因に早い段階から働きかける取り組みです。歯が並ぶスペースを確保する1期治療の前の段階にあたるため、「0期治療(0期矯正)」とも呼ばれます。若林歯科では、この予防矯正としてプレオルソを用いています。
予防矯正の後は、お子さんの成長と歯の生え変わりに合わせて、7〜8歳頃から永久歯が並ぶスペースを確保する1期治療(小児矯正・インビザライン・ファースト)、12歳頃からすべて永久歯になったお口を仕上げる2期治療(仕上げの矯正)へと続きます。予防矯正で土台が整っていれば、その後の治療がスムーズに進みやすくなります。
プレオルソ
プレオルソは、主に6歳前後、前歯が永久歯に生え変わる頃のお子さんを対象とした、マウスピース型のトレーナー装置です。やわらかい素材でできており、日中の1時間程度と就寝時に装着します。口呼吸や舌の癖を改善し、唇や頬、舌といったお口周りの筋肉のバランスを整えることで、顎の健やかな成長を促し、歯並びと噛み合わせの改善を目指します。出っ歯や受け口、開咬など、お口の状態に合わせて複数のタイプが用意されています。
歯を直接動かす装置ではなく、筋肉のバランスを整えることで間接的に歯並びの改善を図るため、ワイヤー矯正のような強い痛みは伴いにくく、学校に持っていく必要もありません。プレオルソはあくまで本格的な矯正の前段階にあたる取り組みで、将来矯正治療が必要になったときに、より良い状態でスタートできるようお口の土台を整えておくことが目的です。
詳しくはプレオルソはどんな効果がある?歯並びや口腔習慣への効果を解説をご覧ください。
乳歯のうちから歯列矯正を始めるべきケースもある
多くのお子さんは予防矯正で対応できますが、乳歯のうちから本格的な歯列矯正を検討した方が良いケースもあります。代表的なのは、骨格的なずれが原因の受け口(反対咬合)です。下の歯が上顎の成長を妨げ、放置すると成長とともにずれが大きくなるため、成長を利用できる早い時期に、装置を使って上顎の成長を促す治療を行うことがあります。
そのほか、上顎の幅が狭くて奥歯の噛み合わせが横にずれている場合や、乳歯が早く抜けて永久歯の生えるスペースがなくなりそうな場合も、早めの治療を検討します。予防矯正で対応できるのか、本格的な治療が必要なのかは、お口の状態を診てはじめて判断できます。気になる歯並びがあれば、自己判断せず歯科医師に相談しましょう。
乳歯矯正について詳しく知りたい方は、愛知県豊田市の若林歯科にご相談ください
乳歯の時期の歯並びや噛み合わせ、お口の使い方は、永久歯の歯並びや顎の成長に影響します。すべてのお子さんにすぐ治療が必要なわけではありませんが、早めにお口の状態を確認しておくことで、年齢に合った取り組みを無理なく始められます。
若林歯科では、プレオルソによる予防矯正(0期治療)やインビザライン・ファーストによる1期治療をはじめ、インビザラインなどのマウスピース矯正、ワイヤー矯正、裏側矯正まで幅広い治療方法に対応しています。精密な検査と診断を行ったうえで、ご希望の予算や期間に応じて治療プランをお選びいただけます。
若林歯科の小児矯正についてはこちらをご覧ください
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