2026/09/28 ブログ
予防矯正は必要?子どもの歯並びが気になる方へメリットや治療内容を解説

この記事を執筆した人
若林歯科院長 米崎美桜
愛知学院大学歯学部を卒業後、同大学で歯科医師臨床研修(小児歯科)を修了。
日本小児歯科学会会員、一般社団法人日本小児矯正研究会副理事長として小児歯科・矯正治療の専門性を持ち、特にインビザラインを用いた矯正に強みを発揮しています。
豊田市内の学校・こども園の歯科医としても活動し、虫歯予防から歯列改善まで幅広く対応。医療コラム執筆者としても信頼され、保護者に向けて「一生涯虫歯ゼロ+美しい歯並び」をサポートする情報を提供しています。
「子どもの歯並びがガタガタになりそう」「口がぽかんと開いていることが多い」と気になりながらも、矯正を始めるにはまだ早いのではと迷っている方もいるのではないでしょうか。そうしたお子さんの選択肢のひとつが「予防矯正」です。予防矯正は、歯並びが悪くなってから治すのではなく、悪くなる原因に早い段階から働きかける取り組みです。
この記事では、予防矯正のメリットや歯並びに影響する癖、具体的な治療内容と注意点を解説します。

予防矯正とは
予防矯正とは、子どもの成長期に、将来的な歯並びの乱れを防ぐことを目指して行う矯正の取り組みです。歯を1本ずつ動かして並べる本格的な矯正治療とは異なり、歯並びが悪くなる原因である口呼吸や舌の癖、お口周りの筋肉のバランス、顎の発育などに働きかけます。「口腔育成」と呼ばれることもあります。
歯は、内側から押す舌の力と、外側から押す唇や頬の力が釣り合った位置に並びます。このバランスが癖や習慣によって崩れると、歯並びも乱れていきます。予防矯正は、顎がもっともよく成長する時期に原因そのものを整えることで、永久歯がきれいに並ぶための土台を作る取り組みといえます。対象となるのは、おおむね乳歯列期から混合歯列期のお子さんです。
予防矯正のメリット
予防矯正には、歯並びの見た目だけにとどまらないメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを順に紹介します。

将来的な歯並びの乱れを防ぎやすくなる
予防矯正の最大のメリットは、歯並びが本格的に乱れる前に原因へ働きかけられることです。
口呼吸や舌の癖をそのままにしておくと、毎日少しずつ歯に力がかかり続け、出っ歯や開咬(前歯が閉じない状態)などにつながっていきます。歯を並べても原因が残っていれば元に戻りやすいため、原因から整えることに意味があります。
原因が改善された状態で永久歯への生え替わりを迎えられれば、歯並びが乱れるリスクを抑えられます。歯並びが整っていると歯ブラシが届きやすく、毎日のケアがしやすいため、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
また、口呼吸から鼻呼吸に移行することで、お口の乾燥による虫歯・歯周病のリスクや、細菌が侵入しやすくなるリスクを減らせる点も大きなメリットです。歯並びの見た目だけでなく、お子さんの健康全体を支える取り組みといえます。
大人の矯正に比べて負担が少ない
予防矯正で使う装置の多くは取り外し式のやわらかいマウスピース型で、ワイヤー矯正のような強い痛みは伴いにくいのが特徴です。装着も日中の決まった時間と就寝時が中心のため、学校に装置を持っていく必要がなく、学校生活への影響がほとんどありません。
費用面でも、本格的な矯正治療に比べて抑えやすい傾向があります。大人になってからの矯正では、抜歯や長期間の装置装着が必要になるケースもあることを考えると、成長の力を活かして「悪くなる前に整える」ことは、お子さんの心身への負担も、ご家庭の経済的な負担も小さくできる可能性のある選択肢です。
将来的な抜歯を回避できる可能性がある
大人になってから矯正する場合、歯を並べるスペースが足りず、健康な歯の抜歯が必要になるケースがあります。予防矯正によって顎の健やかな発育をサポートし、永久歯が並ぶためのスペースを確保できれば、将来的な抜歯を回避できる可能性が高まります。
また、その後に本格的な矯正治療が必要になった場合でも、土台が整っていることで治療がスムーズに進みやすく、治療期間の短縮が期待できることもあります。健康な歯をできるだけ残せることは、お子さんの生涯にわたる財産になります。
歯並びに影響する癖
子どものちょっとした癖は、歯並びや顎の発育に影響を与えます。ここでは、特に注意したい4つの癖を紹介します。

口呼吸
口がぽかんと開いた状態が続く口呼吸は、歯並びに影響する代表的な習慣です。口が開いていると舌の位置が下がり、上顎の成長に必要な内側からの力がかからなくなるため、歯列の幅が狭くなりやすくなります。テレビを見ているときや集中しているときに口が開いていないか、観察してみてください。
また、唇が歯を外側から支える力も弱まるため、出っ歯の原因にもなります。お口の乾燥によって虫歯や歯周病のリスクが高まるほか、風邪をひきやすくなるなど全身への影響もあるため、鼻呼吸への移行はとても重要です。
頬杖
頬杖は、成長途中のやわらかい顎の骨に、外から継続的な力をかけてしまう癖です。いつも同じ側で頬杖をついていると、顎が押されて左右のバランスが崩れ、噛み合わせのズレや顔のゆがみにつながることがあります。
勉強中やテレビを見ているときなど、無意識に頬杖をついていないか観察してみましょう。姿勢の悪さと結びついていることも多いため、椅子と机の高さを合わせるなど、環境を整えることも効果的です。気づいたときに優しく声をかけて、少しずつ減らしていきましょう。
指しゃぶり
指しゃぶりは、前歯を内側から押し出し、出っ歯や開咬の原因になる癖です。乳幼児期の指しゃぶりは自然な行動ですが、4〜5歳を過ぎても続いている場合は注意が必要です。
指が歯と歯の間に挟まった状態が長時間続くと、その力が矯正装置のように働き、歯並びを少しずつ変えてしまいます。無理にやめさせようと叱るのではなく、寝つくときの習慣を変えるなど、お子さんの気持ちに寄り添いながら少しずつ減らしていきましょう。
舌癖
舌癖(ぜつへき)とは、無意識に舌で前歯を押したり、飲み込むときに舌を歯の間に突き出したりする癖のことです。本来、舌の先は上顎の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれる位置に収まっているのが正しい状態です。
舌の位置が低かったり前に出ていたりすると、飲み込むたびに歯へ力がかかり、出っ歯や開咬、発音の不明瞭さにつながることがあります。舌癖は自分では気づきにくいため、歯科医院でのチェックとトレーニングによる改善が効果的です。
予防矯正で行われる治療内容
予防矯正では、装置とトレーニングを組み合わせて、お口の機能と顎の土台を整えていきます。ここでは、代表的な2つの治療内容を紹介します。このほか、顎の状態によっては歯列の幅を広げる床矯正などの装置を併用することもあります。

プレオルソ
プレオルソは、成長期の子どもを対象としたマウスピース型の装置です。やわらかいポリウレタン素材の既製品で、日中の1時間程度と就寝時に装着し、口呼吸や舌の癖、お口周りの筋肉のバランスに働きかけます。
出っ歯・歯のデコボコ用、受け口用など複数のタイプがあり、お子さまの状態に合わせて選択します。装着時の痛みが少なく、学校に持っていく必要がないため、初めての装置として取り組みやすいのが特徴です。プレオルソの働きについては、マウスピース矯正の効果とは?メリット・デメリットや効果を得るコツも参考にしてください。
MFT
MFT(口腔筋機能療法)は、舌や唇、頬といったお口周りの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングです。舌を正しい位置に置く練習、正しい飲み込み方の練習、唇を閉じる力を鍛える練習などを、お子さんの状態に合わせて行います。
1回数分程度の簡単なトレーニングを毎日続けることで、装置の効果を定着させ、改善した状態の後戻りを防ぎます。装置とMFTは予防矯正の両輪であり、どちらか一方だけでは十分な効果が得にくいため、セットで取り組むことが大切です。通院時にトレーニングの進み具合を確認してもらいながら進めていきます。
予防矯正を行う際の注意点
予防矯正を成功させるには、始める前に知っておきたい注意点があります。ここでは、3つのポイントを紹介します。

保護者のサポートが必要になる
予防矯正の主役は取り外し式の装置とトレーニングのため、毎日続けられるかどうかが結果を左右します。小さなお子さんが自分だけで装着時間やトレーニングを管理するのは難しく、保護者の声かけと見守りが欠かせません。装置の洗浄や保管、通院の付き添いも含めて、ご家庭の協力が前提の治療です。
装着できた日をカレンダーに記録する、トレーニングを親子で一緒に行うなど、日々の生活に組み込む工夫をしましょう。学校生活と両立するコツは、学校生活中のマウスピース矯正はおすすめ?気をつけるべきポイントを解説でも紹介しています。
子どものモチベーションが治療結果に影響する
予防矯正は、お子さん自身が「やってみよう」と思えるかどうかで、続けやすさが大きく変わります。嫌がるまま無理に装着させようとすると、装置そのものへの苦手意識が生まれ、続かなくなってしまうことがあります。
なぜ装置を使うのかをお子さんに分かる言葉で伝え、頑張りをしっかり褒めてあげましょう。装置に慣れるまでの違和感には個人差があるため、最初は短い時間から始めるなど、焦らずスモールステップで習慣にしていくことが、結果的に近道になります。医院選びの際は、子どもへの声かけや動機づけが上手なスタッフがいるかも参考になります。
予防矯正を始められる年齢には限りがある
予防矯正は、顎の成長する力を活かす取り組みのため、始められる時期には限りがあります。効果を発揮しやすいのは、おおむね乳歯列期から混合歯列期(5〜10歳頃)で、永久歯が生えそろう時期が近づくほど、成長の力を活かしにくくなります。
「もう少し様子を見てから」と先延ばしにしているうちに、適切な時期を逃してしまうこともあります。時期を過ぎた場合はインビザライン・ファーストなどの本格的な矯正治療が選択肢になるため、迷ったらまず一度、歯科医院で相談して現在の状態を確認してもらいましょう。相談だけなら費用がかからない医院も多くあります。
予防矯正について詳しく知りたい方は、愛知県豊田市の若林歯科にご相談ください
若林歯科では、お子さんの成長過程に合わせたマウスピースによる口腔育成(予防矯正)を行っています。6歳前後から始める「プレオルソ」は、いきなり契約するのではなく、まず1ヶ月ご家庭でお試しいただけるトライアルプランをご用意しているので、お子さんが続けられるかを確認してから始められます。
うちの子に予防矯正が必要なのか知りたい方も、始める時期を迷っている方も、どうぞお気軽にご相談ください。豊田市近隣の方向けに、LINEで新規の矯正相談を承っております。

