2026/10/30 精密根管治療ブログ
根の治療中ずっと痛いのは、仮の蓋のせいかもしれません

この記事を執筆した人
若林歯科理事長 米崎広崇
愛知学院大学歯学部を卒業後、同大学口腔外科学第一講座に入局し、多治見市民病院・春日井市民病院の歯科口腔外科で勤務。2008年に若林歯科院長、2012年に医療法人社団若林歯科理事長に就任しました。
日本顕微鏡歯科学会会員として、マイクロスコープとCTを使った精密根管治療を担当しています。口腔外科での経験から、根の治療だけでは治りきらない歯にも、根の先の手術や一度抜いて戻す方法まで含めて、歯を残す道を検討しています。
国際歯周内科研究会副代表理事、日本口腔インプラント学会会員。
ほかの医院で根の治療を続けていても痛みが引かず、転院して来られる方がいます。その方々のうち10人に3〜4人は、原因が根管の中ではなく仮の蓋にあると私は考えています。治療中ずっと痛みが続いているという話をうかがったときは、まず仮封を疑います。この記事では、歯科の中では認められている材料でも当院が使わないものと、その理由をお話しします。
治療中ずっと痛みが続くなら、私はまず仮の蓋を疑います

治療中の歯が痛み続けているということは、治療そのものか、治療のやり方のどこかに問題があるということです。
根管治療の最中の痛みについて言えば、唾液に汚染された根管内を仮の蓋で封じてしまい、その中で細菌が増えることが原因になっていることが多いと私は考えています。
仮封というのは、治療と治療の間を埋める間に合わせの蓋ではありません。根管が密閉できていなければ、歯を通して体の中と外界がつながった状態になります。せっかく時間をかけて根管の中を消毒しても、次の来院までの数日から数週間のあいだに唾液と細菌が入ってしまえば、その日の治療はやり直しになります。私が仮封を治療の一部として扱っているのは、そういう理由です。
仮の蓋を開けた瞬間に分かること。腐敗臭と、ドロドロになった薬

痛みの原因が仮封にあると判断する決め手は、仮封の状況を見ればわかります。
仮の蓋を外すと根管の中が汚染されていて、前の医院で入れてあった薬剤がドロドロの状態になっている。開けた瞬間に腐敗臭がすることもあります。長いあいだ唾液や細菌にさらされた歯は、根管の壁そのものが軟化していて、それが歯全体の感染源になり、痛みにつながっていることがあります。
一例として、前の医院で4〜5回通われても痛みが続いていた女性の歯を開けたとき、まさにこの状態でした。根管の中を洗って消毒し、仮封の材料を替えてお帰りいただいたところ、次の来院時には痛みはなくなっていました。うかがうと、翌日にはもう消えていたそうです。仮封を変えただけで痛みが消える方は、実際にいらっしゃいます。
エビデンスで認められている材料でも、当院が仮封に使わないもの
水硬性セメントという仮封の材料があります。これは根管治療の仮封として、エビデンスの上では認められている材料です。
ただ私は、実際の口の中では必要な厚みを確保できていないことが多く、使える症例は限られていると考えています。転院して来られた方の歯を拝見すると、脱離していたり、根管の中が密閉できていない状態になっていることがあります。
そのため当院では、仮封はグラスアイオノマーセメントで行うと決めています。理由は密閉性です。歯とセメントがしっかり付いて、次に開けるまでの期間、根管の中を外界から切り離しておけることを優先しています。ストッピングも当院では仮封には使いません。昔は広く行われているやり方でしたが、私は仮封に関しては材料を選ぶところから譲らないようにしています。
なお、仮の蓋をやり直しても残せない歯はあります。残せるかどうかの分かれ目は、「『抜くしかない』と言われた歯」の記事でお話ししています。
当院では、封じるところまでを治療に含めて時間をとっています

当院の精密根管治療は、大臼歯なら通常3回、多くて4回で根管を詰めるところまで終えています。次の予約までの間隔にもよりますが、ほぼ2か月以内には終わる形です。1回の予約を1時間でお取りしているので、回数は少なくなります。回数が増えても、最初にお支払いいただいた金額以上の費用はかかりません。
その1時間の中で、根管を探して拡大し、薬剤で洗浄・消毒し、最後にきちんと封じるところまでを一続きの作業として行っています。顕微鏡やCT、ラバーダム、MTAセメントといった設備や材料については、精密根管治療のページにまとめてありますのでそちらをご覧ください。どれだけ良い機械を使っても、最後の蓋が甘ければ次の来院までに元に戻ってしまいます。私が仮封にこだわるのは、そこが治療の成否を分ける場面だと感じているからです。
※精密根管治療は保険のきかない自費診療です。費用(税込)は、初めて神経をとる治療が55,000円〜、やり直しの治療が116,600円〜で、歯の種類によって変わります。もともと歯にひびがある場合などは、歯が割れて抜歯になることがあります。費用・期間の詳しいことは精密根管治療のページをご覧ください。
ほかの医院で治療中の方も、ご相談ください
治療中なのに痛みが続いている、何度も開けたり閉めたりを繰り返している、という段階でも構いません。まず診断だけでも、お話をうかがえればと思います。
ご相談は、Web予約ページの「精密根管治療相談」からお取りください。相談の日はカウンセリングと資料取りを行い、治療はしません。精密根管治療の相談は土曜日もご予約いただけます。

▶ Web予約ページはこちら
https://dentnet-book.genesis-net.co.jp/wakabayashi/
すでに若林歯科に通院中の方は、次回の来院時に「精密根管治療の相談をしたい」とお声がけください。
精密根管治療について詳しくはこちら
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