2026/01/27 ブログ
インビザラインで上だけの歯列矯正はできる?ケース別の可否や費用など

この記事を執筆した人
若林歯科院長 米崎美桜
愛知学院大学歯学部を卒業後、同大学で歯科医師臨床研修(小児歯科)を修了。
日本小児歯科学会会員、一般社団法人日本小児矯正研究会副理事長として小児歯科・矯正治療の専門性を持ち、特にインビザラインを用いた矯正に強みを発揮しています。
豊田市内の学校・こども園の歯科医としても活動し、虫歯予防から歯列改善まで幅広く対応。医療コラム執筆者としても信頼され、保護者に向けて「一生涯虫歯ゼロ+美しい歯並び」をサポートする情報を提供しています。
上の前歯の歯並びだけが気になる、費用を抑えて矯正したいという方にとって、「上だけの歯列矯正」は魅力的な選択肢です。透明なマウスピースを使用するインビザラインなら、目立たずに矯正治療を進められるため、見た目が気になる上の歯の治療に最適です。
しかし、上だけの歯列矯正には適応できる症例が限られており、メリットとデメリットの両方を理解した上で治療方法を選択することが大切です。この記事では、インビザラインで上だけの歯列矯正ができるケース、できないケース、費用や期間について詳しくご説明します。
インビザラインで上だけの歯列矯正はできる?
インビザラインで上の歯だけを矯正することは可能です。前歯など一部分だけの歯列矯正を行う方法を「部分矯正」と呼び、全体矯正に比べて治療範囲が限定されるため、費用を抑えながら見た目を改善できるメリットがあります。
部分矯正が適用できる条件としては、歯並びの乱れが軽度であること、噛み合わせに大きな問題がないこと、抜歯が不要であることなどが挙げられます。透明なマウスピースを使用するインビザラインは、矯正していることがほとんどわからないため、見た目を重視する方に特におすすめです。
ただし、上だけの部分矯正では噛み合わせの改善はできません。上の歯だけを動かすことで、かえって噛み合わせが悪化してしまうリスクもあります。まずは歯科医師の診察を受けて、ご自身の歯並びが部分矯正に適しているかどうかを確認することが重要です。
インビザラインで上だけの歯列矯正ができるケース
インビザラインで上だけの部分矯正が適用できるのは、歯並びの乱れが軽度で、奥歯の噛み合わせが整っているケースに限られます。以下に、上だけの矯正が可能な代表的なケースをご紹介します。

軽度のすきっ歯
前歯の歯と歯の間にわずかな隙間がある「すきっ歯」は、上だけの部分矯正に最も適した症例の一つです。すきっ歯の場合、歯を並べるスペースはすでに確保されているため、抜歯や大幅な歯の移動が不要です。
インビザラインのマウスピースを段階的に交換しながら、隙間を少しずつ閉じていきます。前歯部分に限局した軽度のすきっ歯であれば、噛み合わせへの影響も少ないため、比較的短期間で治療を完了できます。
ただし、広範囲にわたるすきっ歯や、奥歯の噛み合わせにも問題がある場合は、全体矯正が必要になることがあります。
軽度の出っ歯
上の前歯がわずかに前方に突出している「軽度の出っ歯」も、部分矯正で対応できる場合があります。奥歯の噛み合わせが正常で、前歯の突出が軽度であれば、上だけの矯正で自然な位置に戻すことが可能です。
治療では、IPR(Interproximal Reduction)と呼ばれる処置を行うことがあります。これは、歯と歯の間をわずかに削ってスペースを確保する方法で、削るのは歯の表面のエナメル質のみです。IPRで作ったスペースに、インビザラインで少しずつ歯を移動させていきます。
また、矯正治療後の後戻りで前歯が少し出てしまった方にも、部分矯正は効果的です。ただし、重度の出っ歯や顎の骨格に問題がある場合は、全体矯正が必要です。
軽度の叢生(歯並びがガタガタ)
「叢生(そうせい)」とは、歯が重なり合ってガタガタに生えている状態のことです。奥歯の噛み合わせは整っているが、前歯部分にわずかなガタつきがある場合には、上だけの部分矯正で改善できることがあります。
軽度の叢生の治療では、IPRで歯を並べるスペースを確保するか、歯列をやや前方に広げることでスペースを作ります。その後、インビザラインのマウスピースで段階的に歯を移動させ、まっすぐに整えていきます。
矯正治療後の後戻りで前歯にわずかなガタつきが生じた方や、前歯の見た目だけを改善したい方に適しています。ただし、重度の叢生や奥歯にも問題がある場合は、全体矯正が推奨されます。
インビザラインで上だけの歯列矯正ができないケース

上だけの部分矯正には適応できないケースも多くあります。以下のような場合は、上下の歯を同時に治療する全体矯正が必要です。
噛み合わせに問題がある
上下の歯の噛み合わせがずれている場合、上の歯だけを矯正すると、さらに噛み合わせが悪化してしまう可能性があります。噛み合わせの問題は、食べ物をしっかり噛めないだけでなく、顎関節症、頭痛、肩こりなどの全身的な不調を引き起こすリスクもあります。
噛み合わせを正しく整えるには、上下の歯を同時に調整する必要があります。奥歯の噛み合わせが合っていない、開咬(前歯が噛み合わない)、過蓋咬合(上の歯が下の歯に深く被さる)などの症状がある場合は、部分矯正では対応できません。
また、上の歯だけを動かすことで噛み合わせのバランスが崩れ、せっかく整えた歯並びが後戻りしやすくなる原因にもなります。歯科医師に噛み合わせの状態をしっかり診断してもらい、適切な治療方法を選択しましょう。
抜歯が必要である
歯を並べるスペースが不足しており、抜歯が必要なケースでは、上だけの部分矯正は適応できません。抜歯を伴う矯正治療では、奥歯も含めた歯列全体を大きく動かす必要があるためです。
抜歯が必要になるのは、重度の叢生(歯が大きく重なり合っている)、重度の出っ歯、顎のサイズに対して歯が大きすぎる場合などです。抜歯によってできたスペースに歯を移動させるため、治療範囲は必然的に広くなり、噛み合わせの調整も同時に行います。
抜歯を伴う矯正治療では、インビザラインよりもワイヤー矯正が推奨されることもあります。ワイヤー矯正は歯を大きく動かす力が強く、複雑な症例にも対応できるためです。歯科医師と相談して、最適な治療方法を選びましょう。
歯並びの乱れが重度である
重度の叢生、重度の出っ歯、受け口、開咬など、歯並びの乱れが重度である場合は、部分矯正では十分な改善が得られません。これらの症例では、歯を大きく移動させる必要があり、奥歯の位置や噛み合わせも含めた全体的な調整が不可欠です。
また、歯が大きくねじれて生えている場合や、歯の位置が極端にずれている場合も、部分矯正では対応が困難です。こうした複雑な症例では、上下の歯を同時に動かす全体矯正が必要になります。
部分矯正を無理に行うと、見た目は改善されても機能的な問題が残り、将来的に再治療が必要になるリスクがあります。レントゲン撮影や口腔内の詳しい診察を受けて、専門医の診断に基づいた治療計画を立てることが大切です。
インビザラインの部分矯正についてはこちらもご覧ください
インビザラインで上だけの歯列矯正をするメリット
上だけの部分矯正には、費用面や治療期間の面で大きなメリットがあります。
治療費を抑えられる
部分矯正の最大のメリットは、治療費を大幅に抑えられることです。インビザラインの全体矯正では70万円〜100万円程度かかるのが一般的ですが、上だけの部分矯正であれば30万円〜40万円程度で治療できることが多いです。
治療範囲が限定されるため、使用するマウスピースの枚数が少なく、通院回数も減らせます。経済的な負担を軽減しながら、気になる前歯の見た目を改善できるのは大きな魅力です。
矯正治療は基本的に保険適用外の自費診療となるため、費用面での不安を抱えている方も多いでしょう。部分矯正なら、予算を抑えつつ治療ができます。
短い治療期間で済む
部分矯正のもう一つの大きなメリットは、治療期間が短いことです。全体矯正では通常1年半程度かかりますが、上だけの部分矯正であれば3ヶ月〜半年程度で治療を完了できることがほとんどです。
動かす歯の本数が少なく、移動距離も短いため、治療計画もシンプルになります。また、噛み合わせの調整が不要な分、治療期間を大幅に短縮できます。
結婚式や成人式、就職活動など、大切なイベントを控えている方にとって、短期間で歯並びを整えられる部分矯正は理想的な選択肢です。透明なマウスピースを使用するインビザラインなら、治療中も目立たないため、人前に出る機会が多い方でも安心して矯正を進められます。
インビザラインで上だけの歯列矯正をするデメリット
部分矯正にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。
噛み合わせの悪化に繋がることがある
上だけの部分矯正で最も注意すべきなのが、噛み合わせの悪化リスクです。上の歯だけを動かすことで、上下の歯の位置関係が変わり、もともと正常だった噛み合わせがずれてしまう可能性があります。
噛み合わせが悪くなると、以下のような問題が生じることがあります。
・咀嚼機能の低下:食べ物をしっかり噛めなくなり、消化器官に負担がかかる
・顎関節症のリスク:顎の痛み、口が開けにくいなどの症状が現れる
・歯への過度な負担:一部の歯に力が集中し、歯が削れたり歯周組織にダメージを与える
・頭痛や肩こり:噛み合わせのバランスが崩れることで、全身的な不調を引き起こす
部分矯正を行う際は、歯科医師に噛み合わせの状態をしっかり診断してもらい、治療後の噛み合わせについても十分に説明を受けることが大切です。
顔のバランスに影響することがある
上の歯だけを動かすことで、顔の筋肉の使い方や舌の位置が変化し、顔のバランスに影響を及ぼすことがあります。
例えば、噛み合わせが変わることで、片側ばかりで噛む癖がついてしまうと、顎周りの筋肉が左右で不均等に発達し、顔の歪みにつながる可能性があります。また、口元の印象が変わることで、全体的な顔のバランスが崩れたように感じることもあります。
見た目の改善を目的とした部分矯正であっても、結果的に顔のバランスに悪影響を及ぼしてしまっては本末転倒です。歯科医師から噛み合わせの調整が必要だと診断された場合は、部分矯正ではなく全体矯正を選択することをおすすめします。
適応できる歯並びが少ない
上だけの部分矯正は、適応できる症例が非常に限られているというデメリットがあります。軽度のすきっ歯、軽度の出っ歯、軽度の叢生など、ごく一部のケースにしか対応できません。
重度の歯並びの乱れ、噛み合わせの問題、抜歯が必要なケースなど、多くの症例では全体矯正が必要になります。部分矯正を希望していても、診察の結果、適応外と判断されることも少なくありません。
また、無理に部分矯正を行うと、見た目は改善されても機能的な問題が残り、将来的に再治療が必要になるリスクがあります。歯科医師の診断に基づいて、長期的な視点で最適な治療方法を選択することが大切です。
インビザラインで上だけの歯列矯正をする際にかかる費用・期間
部分矯正を検討する際に最も気になるのが、具体的な費用と治療期間でしょう。全体矯正との比較も含めてご説明します。
治療費用
上だけの部分矯正の費用相場は30万円〜40万円程度です。歯並びの状態や治療の難易度によっては、40万円以上かかる場合もあります。一方、全体矯正の費用相場は70万円〜100万円程度です。部分矯正と比較すると、全体矯正は約2〜3倍の費用がかかります。
費用の差は、治療範囲の広さ、使用するマウスピースの枚数、通院回数などによって生じます。部分矯正では動かす歯の本数が少ないため、マウスピースの枚数も少なく、治療期間も短いため、総額を大幅に抑えられます。
ただし、費用だけで治療方法を決めるのではなく、噛み合わせや長期的な歯の健康も考慮して、歯科医師と相談しながら最適な方法を選びましょう。
治療期間
上だけの部分矯正の治療期間は3ヶ月〜半年程度が目安です。歯並びの状態が軽度であれば、数ヶ月で治療を完了できることもあります。一方、全体矯正の治療期間は1年半〜2年程度が一般的です。奥歯を含めた歯列全体を動かし、噛み合わせを調整する必要があるため、部分矯正に比べて時間がかかります。治療期間を短縮するためには、以下のポイントを守ることが大切です。
・1日22時間以上マウスピースを装着する:装着時間が短いと歯が十分に動かず、治療期間が延びる
・歯科医師の指示を守る:マウスピースの交換時期を守り、定期的に通院する
・口腔ケアを徹底する:虫歯や歯周病になると治療を中断する必要があるため、日々のケアが重要
部分矯正は治療期間が短いため、大切なイベントを控えている方や、できるだけ早く歯並びを整えたい方におすすめです。
インビザラインで上だけの歯列矯正を検討している方は、愛知県豊田市の若林歯科にご相談ください
若林歯科では、知識と経験豊富な歯科医師、スタッフがカウンセリングから治療までを担当します。お悩みやご不安を聞き、患者様一人ひとりにあった治療方法をご提案いたします。また、希望予算や期間に応じて治療プランをご選択いただけます。
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